スタッフブログ
厳格になった「小規模宅地等の特例」 その改正内容とは?
今年の4月1日から施行された平成30年度税制改正では、広範囲にわたって税制の見直しがなされました。
その中でも適用範囲が縮小され、厳格化されたのが「小規模宅地の特例」です。
旧制度の最大の問題点は、作為的な「家なき子」
そもそも「小規模宅地等の特例」とはどのような制度だったのでしょうか。
一言で言えば「亡くなった人と同居していた親族が、土地を相続する場合、その相続税を8割引にする」というもので、その条件としては、
土地面積の上限が、事業用宅地が400㎡、居住用宅地が330㎡
で、特例を受けられる人は
(1)配偶者
(2)同居していた親族
(3)相続前の3年間、持ち家に住んでいなかった別居親族またはその配偶者
※上記(1)、(2)が存在しない場合に適用
でした。
しかし(3)に関しては、「不動産の名義を工夫して、適用させる」
例えば、
・相続前に、持ち家を形式的に身内へ贈与したり、同族会社に譲渡する
・「家なき子」の判定は夫婦間、つまり夫か妻に持ち家があった場合は認められないので、子どもが相続できるよう準備を進める
など、作為的に「家なき子」になる、あるいは「家なき子」をつくるケースが後を絶ちませんでした。
改正のポイント
その他、賃貸不動産や駐車場など貸付事業でも同様の作為的な節税対策がなされる、被相続人が、本人の介護でやむを得ず持ち家以外の場所に居住しなければならないなどの課題がありました。
それらをふまえて、今回改正されたポイントは3点です。
■別居親族の特例適用範囲が縮小
「3年間、持ち家に住んでいなかった別居親族」から、下記に該当する人は適用外となりました。
・相続開始前3年以内に、その者の「3親等内」の親族又はその者と「特別の関係のある法人」が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
※税制改正の原文から抜粋
■賃貸不動産や駐車場など「貸付事業用宅地等」の範囲が縮小
旧法では「相続開始の直前に行われていた貸付事業の宅地等が特例の対象」でしたが、新法では、
・相続開始まで3年以上にわたって貸付事業をしている
(ただし、3年超にわたり「事業的規模」で貸付事業を行っている場合を除く)
となりました。
これにより「相続直前に駐車場を一時的に保有する」というような節税対策は無効になります。
■被相続人が「介護医療院」居住の場合も適用に
「介護医療院」とは、平成30年4月1日から設置可能となった新しいタイプの介護保険施設です。
要介護者に対し、「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供します。
旧法では、要介護認定等を受けていた被相続人が、老人ホーム等へ入所した場合に宅地等の特例が認められていましたが、新法ではこの介護医療院に入所した場合も適用に含まれることとなりました。
この改正により、旧来の「小規模宅地等の特例」を念頭に相続対策を考えていらっしゃった方は、再度見直しが必要となります。
当社では、不動産投資事業に加え、かわさき相続サポートセンターエヌアセット
の運営を行っております。
相続に関する疑問や不安などありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください!
かわさき相続サポートセンター エヌアセットのお問合せページはこちら
エヌアセットBerryのお問合せページはこちら
→「当社が考える不動産投資」はこちら
→お客様の声はこちら
2018年07月25日
- 不動産投資 (50)
- 関連制度・お役立ち情報 (91)
- 相続 (43)
- セミナーレポート (18)
- その他 (70)