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繰下げて損する場合も?!「年金受給」で事前にチェックしておきたい注意点
今年6月に話題となった「老後2000万円問題」。“夫婦が65歳から30年間生きると、総額2000万円不足する”とされる金融庁の報告に老後にますます不安を感じてしまった人というも多いのではないでしょうか。
そんな中、注目されているのが年金の繰り下げ受給です。繰下げは支給開始を遅らせるだけで金額が年約8%、5年で最大42%増えるというお得な仕組み。しかしケースによっては、繰下げ受給が結果的に損となることも。
今回は、繰り下げ受給に関する注意点についてご紹介します。
繰下げ受給による増額率は年約8%
老齢基礎年金、厚生年金の支給開始年齢はいずれも65歳ですが、どちらも66歳以降70歳まで1カ月単位で受給を繰り下げることができます。その場合の増額率(※1941年4月2日以降に生まれた人)は
増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007
となります。
参考:繰下げ請求と増額率
日本年金機構ホームページより抜粋
損益分岐点は受給開始から約12年後
65歳から受け取った場合の額よりも、繰下げ後の額が上回る「損益分岐点」は、何歳から開始しても、およそ12年後とされています。例えば、70歳から受給を開始した場合の損益分岐点は82歳。厚生労働省が今年7月に公表した簡易生命表によると、2018年の日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性は87.32歳。平均寿命を考慮すれば得をする計算となります。
繰下げ受給が損となるケースは?
繰下げ受給をして損となってしまうのは、一体どんなケースなのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
(1)厚生年金加入者でかつ妻帯者対象の「加給年金」「振替加算」が支給されなくなる
厚生年金の受給権(65歳以上)があり、加入期間が20年以上、かつ要件を満たす65歳未満の配偶者がいる場合、「加給年金」が受けられます。これは配偶者が65歳になるまでの期間、厚生年金額に上乗せして支給されるもの。特に、年齢差が大きい夫婦は、この加給年金を受給したほうが、メリットが大きいため、わざわざ厚生年金を繰下げする必要はないでしょう。繰下げするとしたら、老齢基礎年金のみを選択するのがベターです。が、そうすると、今度は「振替加算」が支給されなくなるため、注意が必要です。
「振替加算」とは、加給年金額の対象となっている配偶者の老齢基礎年金に加えられるもの。配偶者の生年月日によって、支給額が決定します。
(2)働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」の場合、繰下げても増額にはならない
65歳から70歳になるまでの間、厚生年金に加入して就労し、給与や年金額の合計が一定の基準を上回ると、厚生年金の一部、または全額停止となるのがこの制度。「年金」と名についていることから、内容を誤解する人もいるようです。
この場合、繰下げで増額となるのは支給停止“されなかった”分のみで、ほとんどがその対象とはなりません。
(3)繰下げ受給をしていた人・待機中だった人が亡くなっても、その遺族厚生年金は増額されない
遺族厚生年金は、繰下げで増額された老齢厚生年金で計算するのではなく、65歳時点の老齢厚生年金で計算するため、増額されません。
繰下げ受給の手続き
年金は、支給開始年齢に達した人に対して送られてくる「年金請求書」を年金事務所などに提出した後に開始となります。これを提出しないかぎり、繰下げ受給を選択したことになるのです。
繰下げ受給の申請をするときは、受給を繰り下げるほかに、増額前の本来の年金額を65歳までさかのぼって一括で受け取るという選択もできます。ただし、その期限は5年。時効で失われる年金が生じないよう、注意が必要です。
当然ながら、繰下げ受給をし、年金額が増えると、それに対する税金や国民健康保険などの社会保険料も増額します。
さまざまな視点から繰下げ受給について検討していくのがよいでしょう。
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2019年08月28日
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