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相続トラブルを回避できる!?「自筆証書遺言書」の法務局保管制度とは
2020年7月より、法務局による自筆証書遺言書の保管制度がスタートしました。「相続トラブルを回避できそう」「遺言がしやすくなる」と反響が大きく、申請件数は開始から2カ月で6,948件に上りました。
今回は、この新制度について詳しく紹介します。
そもそも「自筆証書遺言書」とは?「公正証書遺言」との違いは
「自筆証書遺言書」とは、その名の通り遺言者自ら手書きで認める遺言書のこと。筆記用具と印鑑があれば、手軽に作成できるのが最大のメリットです。一方で、「第三者に改ざんされてしまう可能性がある」「家庭裁判所による検認の手続きが必要になる」などデメリットがあります。
自筆証書遺言書とよく比較されるのが「公正証書遺言書」です。法律の専門家である公証人が作成し、原本は公証役場で保管されるため、形式不備で無効となるリスクがなく、安全で確実な遺言書です。デメリットは「それなりの手数料がかかる」こと、「公証役場との事前のやり取りが発生する」「身内以外で証人を2名立てる必要がある」ことなどが挙げられます。
「自筆証書遺言書」を法務局に保管するメリットとは
自筆証書遺言書のデメリットを解消する目的で設立されたのが、法務局の保管制度です。保管されることで紛失や改ざんを防ぐほか、申請時に形式をチェックされるため、事前に遺言の不備に気づくことができます。家庭裁判所による検認も不要です。
「自筆証書遺言書の保管制度」申請から撤回、閲覧、証明書の請求まで
1.遺言書保管所を決める
・遺言者の住所地
・遺言者の本籍地
・遺言者が所有する不動産の所在地
のいずれかの遺言書保管所(法務局)を決める。
2.保管を申請するには
・手続きができる人:遺言者本人に限られるが、介助のための付添人同伴は可能。
・手続きの方法:申請先の遺言書保管所にあらかじめ予約をしてから出向くのが望ましいとされている。本人確認書類の提示には、マイナンバーカードや運転免許証などの公的な証明書が求められる。郵送による申請は不可。
・保管の対象となる自筆証書遺言書:民法の定める要件を満たした無封のもの。
※参照:法務局ホームページ「遺言書の様式の注意事項」
・手数料:申請1件につき、3900円(収入印紙で納付)
3.申請の撤回方法
遺言者は、預けた遺言書の返却を意味する「申請の撤回」をすることができる。撤回をする時は、別の遺言で申請し直すか、返却された遺言書を処分する必要がある。
・手続きができる人:遺言者のみ。遺言者の死後に相続人が申請を撤回することは不可。
・手続きの方法:申請先の遺言書保管所に撤回書などを提出する。あらかじめ予約をしてから出向くのが望ましい。本人確認書類の提示には、マイナンバーカードや運転免許証などの公的な証明書が求められる。郵送による申請は不可。
・手数料:無料
4.閲覧について
・閲覧できる人:遺言者の存命中は遺言者に限られるが、死後は関係相続人、法定代理人に限り、閲覧することができる。
・閲覧場所:原本を閲覧する場合は、保管されている遺言書保管所へ、モニターでもよい場合は、全国の遺言書保管所で閲覧が可能。
・手数料:原本の閲覧は1回につき1700円。モニターでの閲覧は1回につき1400円。(いずれも収入印紙で納付)
5.証明書の交付請求
(1)遺言書保管事実証明書
遺言者の死後、遺言書が保管されているかどうかを確認したい場合、「遺言書保管事実証明書」の交付請求ができる。
・手続きできる人:誰でも請求できる。但し、相続人以外の人が請求した場合、保管されている遺言書が存在しても請求者が受遺者でない限り「請求者を受遺者などとする遺言書は保管されていない」という証明がなされるのみ。
・手続きする遺言書保管所:全国の遺言書保管所
・手続き方法:窓口または郵送で交付請求する。窓口で請求する場合は、原則予約をする。
・手数料:証明書1通につき800円(収入印紙で納付)
(2)遺言書情報証明書
関係相続人は「遺言書情報証明書」が交付されると、検印を経ずに不動産の相続登記手続きなどに使用することができる。
・手続きできる人:関係相続人、関係相続人の法定代理人
・手続きする遺言書保管所:全国の遺言書保管所
・手続き方法:窓口または郵送で交付請求する。窓口で請求する場合は、原則予約をする。
・手数料:証明書1通につき1400円(収入印紙で納付)
保管所・書式・必要書類に関する詳細については、法務局のホームページをご参照ください。
家庭裁判所の統計データによると、遺産分割事件において遺産総額が1,000万円以下の事件が占める割合は33.9%、5,000万円以下だと76.8%に及びます。もめ事を回避する上でもぜひ用意しておきたいのが遺言書です。
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2020年10月30日
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