スタッフブログ
「重説で水害リスク説明」義務化から半年。不動産投資の現場で今、起きていることとは?
宅地建物取引業者に対して、不動産賃貸・売買における重要事項説明時に「水害ハザードマップを用いた水害リスクの説明」が義務化されてから、半年が過ぎました。
不動産取引にハザードマップが用いられるようになったことで、不動産投資における各金融機関の融資基準にも変化が起きています。現場では一体何が起こっているのでしょうか。当社取締役・越匠平が解説します。
近年の自然災害増加を背景に重視される「ハザードマップ」
毎年のように各地で起こっている自然災害。近年では地震のみならず、水害も深刻な被害をもたらしており、熊本県を中心に九州や中部地方などで発生した「令和2年7月豪雨」は未だ記憶に新しいところです。
各自治体では1994年より地図上に水害リスクを記した「ハザードマップ」の作成を開始。水防法の改定に伴って、ブラッシュアップを重ねてきました。
そして、2020年8月。昨今の災害多発を背景に「不動産取引時の重要事項説明の際の水害リスク情報の説明」が義務化されました。具体的には「水防法第15条第3項の規定に基づいて市町村が提供する水害ハザードマップ」と規定され、宅地建物取引業者は、重説時に、洪水ハザードマップ・雨水出水ハザードマップ・高潮ハザードマップの3つについてそれぞれ説明する必要があります。
※国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」はこちら
「ハザードマップ」は融資や価格設定にも影響
不動産取引にこのハザードマップが用いられるようになったことで、不動産投資における金融機関の融資体制にも変化が生じています。以前は融資が下りた投資物件にNGが出てしまうケースが度々発生しているのです。
例えば、
高潮ハザードマップで「予想浸水深が1メートルを超える」、沿岸部にある物件の場合
・浸水深が1メートルを超える物件はすべてNG
・地震保険に加入すれば、津波による被害はカバーされるからOK
など、金融機関によって、融資対応が変わる事態が起きています。
また、ハザードマップの影響は物件価格にも。「新築」や「表面利回り7%前後を想定していた」物件であってもハザードマップ上でリスクの高い立地だと、これまでのような高額では売却できないケースが急増しています。
物件購入に大切なのは「できるだけ多くのリスクを把握する」こと
一方で、そもそも不動産を購入・売却するのには必ずリスクが伴います。
例えば、ハザードマップ的にはリスクの高い沿岸地域にある物件であっても、サーファーにとっては魅力的な住宅に映り、常時満室になる可能性があります。このように、リスクの取り方はその人の見方によって変わります。
購入する際に、当社がお伝えしているポイントは3つ。「できるだけ多くのリスクを事前に把握する」、そして「リスクに見合ったプライシングであるか」「物件情報の開示がしっかりされているか」を確認することです。
自然災害のみならずコロナ禍に見舞われる今、金融機関の態勢も刻一刻と変わってきています。不動産投資を支援する当社が問われるのは情報収集力です。特に金融機関の現状を逐一把握しながら、瞬時にお客様へ情報提供し、適切な投資判断ができるようにサポートする。それが私たちの役目だと捉えています。
金融機関の不動産投資に対する融資は、今後ますます引き締められる可能性があります。立ち止まって「出口(物件売却)を検討してみる」「新たに物件購入を検討してみる」――今がそのタイミングかもしれません。(談)
―――――――――――――――――――――――――――
当社では、不動産投資を中心とした総合的な資産運用・相続対策のサポートサービスをしております。ご質問やご相談などありましたらどうぞお気軽にお問い合わせください。
エヌアセットBerryのお問合せページはこちら
→「当社が考える不動産投資」はこちら
→お客様の声はこちら
2021年02月18日
- 不動産投資 (50)
- 関連制度・お役立ち情報 (91)
- 相続 (43)
- セミナーレポート (18)
- その他 (70)