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相続対策にも!「不動産小口化商品」の仕組みと注意点
少額から不動産投資が始められる「不動産小口化商品」。不動産特定共同事業法が整備されたことで、より安心して購入できる投資商品となりました。特に任意組合型は、相続対策の選択肢にもなると近年注目を集めています。
今回は不動産小口化商品(任意組合型)について紹介します。
不動産小口化商品とは
特定の不動産を一口数万円から100万円程度に小口化して販売し、賃料収入や売却益に応じて出資者に分配する不動産小口化商品。共同特定共同事業法に基づき、認可された事業者のみが販売できるため「不動産のプロが選ぶ商品に、少額から投資できる」のが最大の特徴です。
加えて、物件の管理は事業者が行なうため、マンションの1棟所有や区分所有に比べ、管理の手間がかからないことも利点の1つとして挙げられます。
投資家が金銭で出資し、事業者が利益を分配する「匿名組合型」と出資した複数の投資家が共同で事業主体となる「任意組合型」の2タイプがあります。
相続対策における「任意組合型」のメリット
相続対策として活用できるのは、任意組合型です。出資者は不動産の共有持ち分を購入し、所有権が生じるため、相続税評価額は持ち分所有と同じ方法となり、土地は路線価方式(または倍率方式)、建物は固定資産税評価額に基づき算出されます。そうすると、土地は時価の8割程度になります。アパートやマンションで貸し付けている場合、さらに土地は2割ほど、建物は3割ほど相続税評価額が減額されます。
このように、マンションの1棟所有や区分所有と同等の節税効果を得られるほか、「分割のしやすさ」も相続対策に適していると言えます。不動産小口化商品は、実物不動産と違って、複数の受贈者に対して口数ごとに贈与することが可能です。
購入する際の注意点
不動産小口化商品の購入においては、デメリットもあります。
まず挙げられるのは、「レバレッジがきかない」こと。物件を共同で購入するため、不動産の担保を条件とした融資は受けられないからです。少額から始められますが、すべて自己資金での支払いが必要となります。
2つ目は、「大きなリターンは見込めない」こと。購入後は物件管理が不要である反面、管理にかかるコスト(火災保険料や固定資産税、都市計画税、修繕積立金、組合の管理費など
が運用益、売却益から差し引かれるため、実物不動産投資と比較して、利回りが低くなりやすいのです。物件によりますが、実質利回りが3%というケースも多く見られます。
3つ目は「すぐに換金できない可能性がある」こと。中途解約をする場合は、事業者などを通じて売却を探す必要があるなど、流動性が低いからです。
その他、注意すべきポイントは
・元本保証、賃料保証がない。
・契約期間が定められており、期間の途中で対象物件が売却されることもある。
・商品数がそれほど多くない
ことなどが挙げられます。
REIT(不動産投資信託)との違いは
少額から不動産投資ができる商品はほかに、REIT(不動産投資信託)があります。
REITの多くは上場していますが、その場合は証券取引所を通じて取引されるため、流動性が高く、売買しやすいのが特徴です。一方で値動きが比較的大きく、不動産市況や金利環境、経済情勢などによって価格や分配金が下がるリスクもあります。
「小規模宅地等の特例」は適用される?
相続設計に活用される「小規模宅地等の特例」は、不動産小口化商品の土地についても適用されますが、その面積には上限があります。
小規模宅地の特例とは、個人が相続または遺贈により取得した財産のうち、事業用宅地もしくは居住用宅地が該当し、適用要件に満たす場合、限度面積まで、一定の割合を減額できる特例のことです。
不動産貸付として利用している土地は「貸付事業用宅地等」に該当し、特例適用の限度面積は200㎡、減額割合は50%。一方、自宅の敷地は「特定居住用宅地等」にあたり、特例適用の限度面積は330㎡、減額割合は80%となります。
小規模宅地等の特例の計算方法から、貸付事業用宅地等(不動産小口化商品)よりも、特定居住用宅地等(自宅の敷地)に適用した方が、節税効果が高くなるケースがほとんどです。そのため、土地の面積が適用限度面積を超える場合、不動産小口化商品の土地の評価額については減額できない可能性があります。
不動産小口化商品は、相続対策として「相続税評価額が減額できる」「分配しやすい」メリットがある一方で、「融資が下りず、レバレッジを利かすことができない」などのデメリットもあります。
具体的な対策を講じるには、税理士などの専門家に相談することが肝要です。
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2021年10月25日
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